月別アーカイブ: 2015年7月

「教団X」中村文則著 読了

長い長い小説。ページ数567。読了まで要した日数2週間。
その圧倒的な世界観は読むのもを引き付けて止まない。宗教、右極化する日本、性と悪、テロ。
ありとあらゆる人間の本能的な部分を暴き、晒していくその内容は今の日本と世界のリアルだ。
「事実は小説よりも奇なり」とはよくいったものだけれど、この本が連載されている間に「イスラム国」の動きが活発化し、安倍政権はどこまでも右によっていく。
政治の話は置いといて、世界と時代の流れを見事にとらえた著者渾身の作だと思う。陳腐な言い回しだけど最高傑作だと思う。

同時代の作家の中にこれだけの感性をもち、世界を創れる作家がいてくれることは本当に嬉しい。

文芸はどんなにインターネットや漫画が闊歩する世の中であってもきっと死なない。

剱 立山

 

山に魅了されてから結構な時間が経つ。けれど何故だかなかなか足が向かない山麓というものもあるものだ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

自分にとってそれは立山山麓、剱岳。毎年のように北アルプスには足を運んでいるのに何故か来なかった立山室堂。今年は絶対来ようと決めていてやっとこさ。

実は20数年前に雄山に二回登ったことがある。家族との登山、そして学校登山。その時、山登りが辛いと思ったかどうかの記憶はいまとなってはもはや「遠いやまなみの光」のなかだけれど、御来光と雲海の感動というものを10歳前後で感じさせてしまった親の責任は大きいね(笑)

お陰様で、今となっては安定の職を離れ、好きな山の世界にどっぷりです。(別に今も安定だけどさ)
幼少の記憶というものは根強く深い。そして今でもその延長線上にいれることはとてもありがたい。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

今回は、二泊三日の立山満喫山行。奥大日岳、剱岳、立山三山、浄土山のフルコース。まあ、山での環境なんて運だから、そのときそのときを受け入れるしかない。行けるときに行きたい山へ。天候、体調含めてなかなか全部が一致することは難しいよね。

うまくいかないときは受け入れて消化してまた山にくればいい。そして行けるときは安全確保の上でバンバン攻めればいい。山との波長。自分の流れ。そういうのってあるからさ。

26年前。生まれて初めて登った3000m超の山。雄山。その姿は変わっていなかった。記憶と今が一致するとき。そんな経験はなかなかないだろう。同じ山に登り当時の自分とだいたい同じ時間に同じ景色を見る。変わってない自分と変わっている自分に気づく。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA

なーーんてカッコいいこと言っているけどさ、山登りは楽しい。気持ちいい!!ただそれだけ。登りたい山があるから行く。時間や天候に左右されながらそれでもまた、山に向かう。

素直な自分に気づかせてくれる日本の山々に感謝して。今日もビールと日本酒がうまいのです。

そんな山とお酒の日々に感謝して。おやすみなさい。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

「冒険の森へ」傑作小説大全

みなさん全集って持ってますか?
なかなかそんな人いないよね。

かくゆう私も、読書は好きだが全集は諸々無駄が多い気がして手を出さなかった。

でもこの全集は、なにか新しい出会いと発見がありそう。
「冒険の森へ」 タイトルがいいじゃない。
読みたい本だけを読むことも読書。新しい作家や物語との出会いを模索するのも読書。

今までにないやりかたでなにかと向き合う姿勢は、これから歳を重ねていくなかで忘れてはいけないと思う。そんなわけで、いざ冒険の森へ一歩踏み出そう!

http://www.shueisha.co.jp/bouken/
↑冒険の森HP

「忘れられた巨人」カズオ・イシグロ著 読了

 

読み終わるまで二カ月半かかってしまった。つまらないとかそういうことではなくて、今の自分の生活の中であまり小説の為の時間が多くないだけである。50ページに二か月。残りは二日で読み終えた。

カズオ・イシグロファンの皆様も本作品の構成にはかなり驚かされたのではないだろうか。著者初のファンタジー小説。アーサー王伝説の時代背景を軸に、空想、ファンタジー要素を取り込みながら、二人の老夫婦の旅を描く、今までの彼の作品にはない挑戦的小説といえる。陳腐な表現をするとRPG的。自分の感覚において近しいものだと、昔読んだエンデの「はてしない物語」の読後感に近い。

寓話的かつ童話的なその流れのなかに、老夫婦のラブストーリーを感じる人も多いだろう。記憶との戦い。信頼。愛情。歩み。読み進めるなかで、長く一生をともにする夫婦にとって大事なものとは何なのかを考えさせられる場面も多い。

読んでいて映像が浮かぶ小説だった。そのロードムービーのようなストーリーのなかにでてくるのは鬼、竜、妖精といった世に言う想像上のもの。「鬼」って海外で認知されているのかは知らないけれど、日本人としては海外の小説に鬼が出てくるのはありがたい。イメージしやすい。乱暴なかんじだと文学的な桃太郎。

 

ファンタジー的要素の強い小説は個人的にはあまり好きではないのだけれど、久々に楽しめた。私のこの小説のイメージは「霧の小説」  シーン全体が霧に包まれている決して明るくない小説。

まるで、尾瀬ヶ原の朝靄のなかに常にいるような光景、シーンを想像する。

エンデが好きな人。ファンタジーが好きな人が読んでもきっと発見が多いと思う。

あとひとつ確実に言えること。この小説は必ず映画になる。これだけは読みながら確信しました。ファンタジーだけに読者各々が思い描くこの小説のイメージは様々。それがどんな風に映像化されるのか。

その日を楽しみに、、おやすみなさい。

DSC_0196

南アルプスの女王 仙丈ケ岳

えらい大袈裟な通称をつけられた仙丈ケ岳。日帰りで登ってまいりました。

花が有名らしいですが、梅雨真っ盛り。とくに咲き誇るお花畑もなく、ハイマツ近辺はブンブンと虫が大量に飛んでおりました。何匹か口に入ったし!!

まあ、梅雨の合間。振られない、いや、降られないだけよかった。晴れではなかったけど360度の展望はあったしね。

女王のイメージはいろいろあるとおもいますが、360度いい男に囲まれているあたり、やはり圧巻の女王の佇まい。
まわりにはイケメンの甲斐駒君、のっぽの北岳君、地味だけど頭がいい感じの農鳥君、お調子者の間ノ岳君。隣のクラスの塩見君、遠くから見守る富士先生(もういいって??)。みんなどうやら彼女にメロメロのようです。女王恐るべし。誑かしてます。立ってるだけで。男は馬鹿ですな。単純極まりない。
メロメロは死語でしょうか?

あれ?なんの話だ。山の話だ。

帰りのバスの運転手さんは「穂高さん」でした。
「でもさー。俺、山嫌いなんだよね。登んないし。全然よくないよこういうの」俺みたいな乗客に突っ込まれてるんだろうなー「穂高さんなのに南アルプスなんですか?」って。
めんどいよね。ごめんなさい。

ん?なんの話だ?山の話だ。

今年もまたアルプスに通う季節がやってきた。

さあみんな山に行こうぜ!

OLYMPUS DIGITAL CAMERA