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「窓の魚」西加奈子著 読了2015/8/11

友達ともなんともいえない四人、二組の男女が一緒に温泉旅行に来たその一晩の心の動きを、各々の視点で同時間を描いている。 全てを通して1つの小説としても読めるし、四つの短編としても読める。
そして四つを繋ぐ1つのシーン。猫と鯉と女。それがこの小説のポイントだろうか。

ただただ、淡々と描かれる四人それぞれの視点の夜。薄暗い温泉旅館のイメージとそれぞれが抱えている黒く暗いものが重なり、その過去を暗くとも鮮明にする。

日常と非日常の境目が曖昧になったその旅館自体も暗い歴史でなりたっている。

人は単純明快な明るさだけではなく、複雑さも持ち合わす。
人と人が関係を築き上げるとき、共に時間を過ごすとき、それぞれの思いや考えていることが重なることは難しい。各々の過去が今を邪魔することもある。

そんな暗い気持ちを持ってしまった読後感だった。決して明るい小説ではないから万人には薦めないけれど、人が抱える過去の複雑さ、トラウマと付き合うことを深く考えさせられた小説だった。

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「長岡花火」

もともと新潟県民だったにも関わらず、長岡花火の「祈りの花火」たる所以を知らなかった。当時まだ小学生だったからとはいえ、もっと早くにこの事実をきちんと知っておきたかった。

純粋に美しい花火。儚さの中にある再生と希望への想い。

山下清さんの言葉
「みんなが爆弾なんかつくらないできれいな花火ばかりをつくっていたらきっと戦争なんか起きなかったんだな」

日本の行事には、時代を超える素敵な想いであふれてる。

(以下転載)
 昭和20年8月1日午後10時30分、米軍の爆撃を受けた長岡の空は赤く染まり、街は一夜にして灰塵と化し、1,470余名の命が奪われました。
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その二年後、地獄の底から立ち上がった市民は、戦災復興と平和への祈りを込めて、長岡の空に花火を捧げました。戦中の中断を経て、再び「長岡花火」は祈りの花火として復活。喜び、悲しみ、感謝、鎮魂、人々は時代を越え、毎年惜しみなく夜空を染め上げる華麗な一瞬の花々に、さまざまな思いを託し続けてきました。
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そして毎年8月1日午後10時30分、長岡空襲が始まった時刻に合わせて慰霊の花火を打ち上げる。更にいまでは日本三大花火と称されている長岡花火は、毎年8月2日と3日の二日間行われています。長岡大空襲、そして近年の中越大震災、長岡の花火とは、まさに私たち長岡市民の再生と希望の象徴なのです。
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写真は、あの裸の大将、山下清画伯が描いた「長岡の花火」という名作。そして、山下清さんの言葉。
「みんなが爆弾なんかつくらないできれいな花火ばかりをつくっていたきっと戦争なんか起きなかったんだな」
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その山下清さんの描いた「長岡の花火」をいまも家宝として大切に所蔵しているのが、世界の夜空を舞台に活躍し「長岡花火」を支えつづけてきた花火師、嘉瀬誠次さん。
嘉瀬誠次さんの作る花火は、ゆっくりしんなりと開く。花火にも個性があり、ゆっくり燃えるのが人の気持ちを引っ張るという当代切っての花火師は、復員後の昭和24年からずっと長岡の花火を打ち上げ続けてきました。
「全ての爆弾を花火に換えたいねー。二度と爆弾が空から落ちてこない、平和な世の中であってほしいんだよ。破壊のための火薬を楽しみのために使うんさ」
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暑い日が続きますが、皆さん、いい夏をお過ごしください。

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