「遠い山なみの光」 カズオ・イシグロ著 早川書房読了(2011年12月21日)


久々の小説。このところノンフィクションばかり読んでいたので何となく新鮮な気持ちでフィクションの世界に浸ることが出来た。
とはいえ、内容はリアリズム。読後感は決して爽やかではない。人生における転換期において、人がどのように自己の過去を振り返り、その記憶を精算していくか。そういう誰にでも起こりうる感情、状況を一人の女性の記憶と現在を通じて表現している。
けれど、最後まで現実と記憶のなかの風景は決して直接リンクしているようには思えず、過去と現在が分裂しているような感覚のまま終わった。ここらへんは読む人によって感じ方が変わるのだと思う。

 カズオ・イシグロは1954年に日本の長崎に生まれ、五才まで日本で過ごし、その後家族と共にイギリスに渡り、83年に英国籍を取得し今では英文学界ではなくてはならない存在となっている(らしい)。
本小説も著者のその幼少の記憶をベースに書かれているのだと思う。これから全作品を読み進めていく予定。村上春樹が好きな人であれば、とっつきやすい作家かもしれません。


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