「復興の書店」 稲泉 連著 読了(2012年11月16日)


被災した数多くの書店の復興への道のりノンフィクション。

僕は本が好きです。読書が好きです。文学が好きです。そして書店が好きです。もはやそれは生活の一部であり、大袈裟だけど生きることの一部でもある。そう、生きるために日々食事をするように。

けれど、一時、丸3ヶ月以上小説とか、好きだった本を全く読まなくなった時期がある。

それがひたちなか市での被災直後3ヶ月。当事は食糧を求め、街を駆け巡ったり、茨城から東京へ戻ることもままならず、仲間とも家族とも連絡が途絶えた日々が続いてた。当然のことながら読書なんてする余裕はなかった。実家に何とか戻り、長い二週間の自宅待機中でも、メディアから流される震災の映像に釘付けで、有り余る時間を読書に費やそうなんて全く思わなかった。

けれど、逆に現地の避難所では食糧や生活物質の供給が落ち着くと、それと同じように活字が求め始められていた。プライバシーのない生活。ストレスのたまる集団行動。そんななかで、いっときでも一人の時間に没頭できる読書を人は求め、ネットも電話もままならないなかで、人は活字の情報を求めていたことがこの本からよく伝わる。勿論、文学だけでなく本屋が扱う地図や、求人情報紙。中古車情報紙のように必要に迫られたものもあるが、子供達に日常を少しでも取り戻させようと、児童書や漫画も多く求められていた。

きっと書店や読書は”小さな日常”を取り戻せる場所と行為だったのだろう。

僕自身、読書を再開しはじめた時に初めて「いつもの自分が却ってきた」と思えた。

以下、表紙の言葉です

「本の力を借りて
言葉の力を借りて
そして私たち自身が元気でいれば
誰かの涙を乾かすことくらいできるんじゃないかな」

心おきなく読書ができる今の日常に感謝。小さくても頑張ってる地元の街の書店に感謝。


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