「忘れられた巨人」カズオ・イシグロ著 読了


 

読み終わるまで二カ月半かかってしまった。つまらないとかそういうことではなくて、今の自分の生活の中であまり小説の為の時間が多くないだけである。50ページに二か月。残りは二日で読み終えた。

カズオ・イシグロファンの皆様も本作品の構成にはかなり驚かされたのではないだろうか。著者初のファンタジー小説。アーサー王伝説の時代背景を軸に、空想、ファンタジー要素を取り込みながら、二人の老夫婦の旅を描く、今までの彼の作品にはない挑戦的小説といえる。陳腐な表現をするとRPG的。自分の感覚において近しいものだと、昔読んだエンデの「はてしない物語」の読後感に近い。

寓話的かつ童話的なその流れのなかに、老夫婦のラブストーリーを感じる人も多いだろう。記憶との戦い。信頼。愛情。歩み。読み進めるなかで、長く一生をともにする夫婦にとって大事なものとは何なのかを考えさせられる場面も多い。

読んでいて映像が浮かぶ小説だった。そのロードムービーのようなストーリーのなかにでてくるのは鬼、竜、妖精といった世に言う想像上のもの。「鬼」って海外で認知されているのかは知らないけれど、日本人としては海外の小説に鬼が出てくるのはありがたい。イメージしやすい。乱暴なかんじだと文学的な桃太郎。

 

ファンタジー的要素の強い小説は個人的にはあまり好きではないのだけれど、久々に楽しめた。私のこの小説のイメージは「霧の小説」  シーン全体が霧に包まれている決して明るくない小説。

まるで、尾瀬ヶ原の朝靄のなかに常にいるような光景、シーンを想像する。

エンデが好きな人。ファンタジーが好きな人が読んでもきっと発見が多いと思う。

あとひとつ確実に言えること。この小説は必ず映画になる。これだけは読みながら確信しました。ファンタジーだけに読者各々が思い描くこの小説のイメージは様々。それがどんな風に映像化されるのか。

その日を楽しみに、、おやすみなさい。

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