「窓の魚」西加奈子著 読了2015/8/11


友達ともなんともいえない四人、二組の男女が一緒に温泉旅行に来たその一晩の心の動きを、各々の視点で同時間を描いている。 全てを通して1つの小説としても読めるし、四つの短編としても読める。
そして四つを繋ぐ1つのシーン。猫と鯉と女。それがこの小説のポイントだろうか。

ただただ、淡々と描かれる四人それぞれの視点の夜。薄暗い温泉旅館のイメージとそれぞれが抱えている黒く暗いものが重なり、その過去を暗くとも鮮明にする。

日常と非日常の境目が曖昧になったその旅館自体も暗い歴史でなりたっている。

人は単純明快な明るさだけではなく、複雑さも持ち合わす。
人と人が関係を築き上げるとき、共に時間を過ごすとき、それぞれの思いや考えていることが重なることは難しい。各々の過去が今を邪魔することもある。

そんな暗い気持ちを持ってしまった読後感だった。決して明るい小説ではないから万人には薦めないけれど、人が抱える過去の複雑さ、トラウマと付き合うことを深く考えさせられた小説だった。

DSC_0273


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です